アダージョ(アルビノーニ)

ドレスデン国立図書館から偶然発見?後に完全な創作と判明

『アダージョ(アルビノーニ) Adagio in G minor』は、18世紀イタリアの作曲家トマゾ・アルビノーニ(Tomaso Albinoni/1671-1751)に関連する楽曲。1958年出版。

実は、アルビノーニ作品のほとんどは、第二次世界大戦中のドレスデン空襲の際に失われてしまっていた。下挿絵は1900年頃のドレスデン市街遠望。

1945年、イタリアの音楽学者レモ・ジャゾットは、ドレスデン国立図書館の廃墟の中で散逸した文献を整理中、偶然にアルビノーニのトリオ・ソナタを発見。この緩徐楽章の断片からオルガンと弦楽合奏用にメロディーを「復元」したという。

なお、ジャゾットは編曲・復元であって作曲ではないと主張したが、後に完全な創作と判明している。

このいわゆる『アルビノーニのアダージョ』は、オーソン・ウェルズ監督の1963年の映画『審判』(カフカ原作)で使用されたことで知られている。また、メル・ギブソン主演の映画『誓い(Gallipoli)』では、悲劇的な幕切れで効果的に利用されている。

【YouTube】アダージョ(アルビノーニ)

アダージョで有名な曲は?

「アダージョ(Adagio)」とは、速度記号の一つで「ゆるやかに(演奏せよ)」の意。「アダージョ」といえば、1986年に大ヒットしたフレンチポップス『T'en Va Pas(哀しみのアダージョ/悲しみのアダージョ)』、アメリカの作曲家サミュエル・バーバーの『弦楽のためのアダージョ』などが有名。

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バーバー『弦楽のためのアダージョ』

マルチェッロのアダージョ

『哀しみのアダージョ』