サンスクリット語に由来する日本語

お盆や旦那、悔しい時の「ちくしょうめ!」の畜生など

インドや東南アジアに広まるサンスクリット語・梵語(ぼんご)は、お盆や旦那など、様々な日本語の成立に影響を与えたと考えられている。

信ぴょう性や客観的資料の有無はひとまず横に置いて、サンスクリット語に由来する可能性がある日本語について、肩の力を抜いて幅広くまとめてみた。

お盆

お盆の語源である仏教行事「盂蘭盆会(うらぼんえ)」は、サンスクリット語で倒懸(さかさづり)を意味する「ウランバナ/ウランバーナ(उल्लम्बन)」が語源。

地獄の世界で逆さ吊りにされる死者への供養が盂蘭盆会の起源とされているようだ。

お彼岸

「彼岸 ひがん」という語句は、浄土信仰と密接な関係にあり、「到達・達成」を意味するインドのサンスクリット語「波羅蜜」(はらみた、はらみった、パーラミター)に由来する。

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旦那 だんな

妻が夫を呼ぶ際の呼称「旦那(だんな)」は、仏教用語の檀那(だんな)に由来し、これらはサンスクリット語で「布施(ふせ)」を意味する「ダーナ(दान)」が語源。

寺の檀家(だんか)も同様。江戸時代には、檀家は寺に布施を祓い、葬祭供養の一切を任せた。この布施が檀那(だんな)と呼ばれた。

ちなみに、英語で寄付者・提供者を意味する「ドナー donor」も同じ起源と考えられている。

閻魔 えんま

閻魔(えんま)は、サンスクリット語の「यम(ヤマ)」が語源。地獄・冥界の王で、死者の生前の罪を裁く。

王を意味する「ラージャ」をつけてヤマラージャ(यमराज)とも呼ばれる。これに対応する日本語は「閻魔大王(えんまだいおう)」。

北欧神話における原初の巨人ユミルも同じ語源と考えられている。北欧神話の主神オーディンの母ベストラは、ユミルの一族である霜の巨人ボルソルンの娘。

畜生 ちくしょう

畜生(ちくしょう)は、サンスクリット語で人間以外の動物を意味する「तिर्यग्योनि(tiryagyoni) 」が語源と考えられている。

悔しい時や相手を罵る時の「ちくしょう!」もこの「畜生」に由来している。

馬鹿 ばか

「馬鹿 ばか」の語源は諸説あり、どれも決定的ではないが、有力説の一つにサンスクリット語説がある。

サンスクリット語で「痴、愚か」を意味する「モーハ」は、日本では「莫迦」と音写され、その音読みが後の「馬鹿」につながったと説明されるようだ。

三昧 ざんまい

「贅沢三昧(ぜいたくざんまい)」や「ゴルフ三昧」などの「三昧 ざんまい」は、サンスクリット語の「サマーディ(समाधि)」が語源。

サマーディは、仏教やヒンドゥー教における瞑想で、精神集中が深まりきった状態を意味する。

娑婆 しゃば

刑務所の囚人が外の世界の指して言う「娑婆(しゃば/さば)」は、サンスクリット語の「サハー」を語源とし、仏教においては釈迦が衆生を教化するこの世界、すなわちこの世(現世)を意味している。

奈落 ならく

仏教における地獄。また地獄に落ちること。サンスクリット語の「ナラカ」に由来する。

後に、劇場の舞台下や歌舞伎の花道の床下、コンサートホールのオーケストラピットなども「奈落」と呼ばれるようになった。

あばた

ことわざ「あばたもえくぼ」の「あばた」は、天然痘がなおったあとに残るぶつぶつとした小さなくぼみを意味する。

この「あばた」については、一説によれば、サンスクリット語で「かさぶた」を意味する「アルブタ」が語源と考えられているようだ(真偽不明)。

アバター

インターネットのサービス(Webサービス)で、自分(ユーザー)の分身となるキャラクターを意味する「アバター(アヴァター)avatar」は、サンスクリット語で「神仏の化身」を意味するアヴァターラ(अवतार)が語源となっている。

阿吽 あうん

息ぴったりの二人の様子を「阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)」などと表現するが、この「阿吽(あうん)」とは、サンスクリット語で口を開いて最初に出す音の「ア」と、口を閉じて出す最後の音の「フーン」が語源となっている。

口を開いて最初に出す音は宇宙の始まりを表し、口を閉じて出す最後の音は宇宙の終わりを表す言葉とされた。

達磨 だるま

だるまさんがころんだ』や『にらめっこ』などの歌詞にも登場する「達磨 だるま」は、中国禅宗の開祖でインド人仏教僧の菩提達磨(ぼだいだるま)のこと。

菩提達磨はサンスクリット語で「ボーディダルマ(बोधिधर्म)」。「ダルマ」はサンスクリット語で「法」を表す言葉。

金毘羅 こんぴら

薬師如来(やくしにょらい)十二神将の筆頭「宮比羅(くびら)」は、サンスクリット語で「クンビーラ」。金毘羅、金比羅とも書く。

クンビーラ(マカラ)はガンジス川に棲むワニを神格化した水神で、金刀比羅宮(ことひらぐう)では海上交通の守り神「金毘羅大権現」として信仰されてきた。

阿修羅 あしゅら

阿修羅(あしゅら)は、古代インド神話におけるサンスクリット語のアスラ(असुर)が語源。阿須羅や阿素羅などとも表記される。

南無阿弥陀仏 なむあみだぶつ

南無(なむ)は、サンスクリット語で敬意、尊敬、崇敬をあらわす「ナモ(नम namo)」が語源。ヒンディー語「ナマステー(नमस्ते)」の「ナマ」も同じ。

阿弥陀(あみだ)は、サンスクリット語の「アミターバ(अमिताभ)」または「アミターユス(अमितायुस्)」に由来する。

アミターバは「量りしれない光を持つ者」、アミターユスは「量りしれない寿命を持つ者」を意味している。

仏(ぶつ)は、サンスクリット語で聖人・賢者を意味する「ブッダ Buddha」に由来。「知る」「目覚める」を意味する動詞ブドゥ(budh)の過去分詞形。

ナンジャラホーイ

長野県民謡『木曽節』(きそぶし)の歌詞にある「ナンジャラホーイ」または「ナンチャラホーイ」は、サンスクリット語で「盆踊り」を意味する「ナムチャラホイ」が語源とする説があるようだ。

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